2008年3月15日土曜日

新しい入国審査 ― これでいいの?

TV報道などでご存知の通り、11月20日から我国への外国人の入国審査の方法が変わった。
法務省入国管理局のHPでは:
「『ルールを守って国際化』を合い言葉に出入国管理行政を通じて日本と世界を結び,人々の国際的な交流の円滑化を図るとともに,我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより,健全な日本社会の発展に寄与しています」
とし、具体的には「指紋を取る」、「顔写真を撮る」、「入国審査官が審査する」というプロセスがスタートしたのだ。

確かに安全は最優先課題だ。国民の安全を守るために必要な措置は最優先で行われなければならない。それは認める。
しかし、今も心理的な抵抗感が大変強い「指紋を取る」、「顔写真を撮る」という措置を敢えて強制するのは「唯一、最善の策なのか?」と危惧せざるを得ない。

まず、採取された指紋や顔写真が他の目的に悪用されないという仕組みの確立が出来ていない。少なくとも入国審査を受ける外国人たちに安心感を与えられては 居ないのが現状だ。政府が「悪用しません。安心して下さい」と叫んでも、社会保険庁の「年金記録問題」やどんどん大きくなる防衛省の疑惑問題は外国人の日 本の役所への信頼感を既に十分に失わせているのだ。

私は今回の措置で、「外国人経営者や観光客の日本への距離が益々遠くなるのではないか?」と真剣に心配している。外国企業との協業、貿易と観光事業は日本 の重要戦略ではなかったか。「指紋を採られたり、顔写真を撮られるくらいなら日本行きは止めた」と言い出す外国企業幹部は少なくないはずだ。彼らが日本を 迂回して中国、韓国、インドに直行することが今後多くなることを危惧している。

仲の良い日本在住のイタリア人が日本のことを心配してこんなことを言っていた。「日本で起こった大きなテロ事件は麻原彰晃(本名:松本智津夫)率いるオー ム真理教と赤軍派で日本人ばかりじゃないですか。なのに、日本人を安全と信じ、外国人は疑うというのは釈然としませんね」と。

繰り返します。安全のための措置は重要です。しかし、今回の新しい入国審査の方法は「唯一、最善の方法なのですか?」。国民的コンセンサスが取れていますか?

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