2008年3月15日土曜日

オランダ、ベルギー報告-2

(オランダの続き)
④ オランダはご存知のように運河の国です。至る所に運河が流れていますが、河淵には柵がありません。もし日本でこんなところに子供や老人が落ちるようなこと があれば管理責任を問われて大問題になるはずで、だからどんな川にも厳重に何らかの防御柵が張り巡らされて、しかも警告標識が一杯です。が,こちらでは河 淵に柵がありません。中には河淵が駐車場に利用されているところも多く、ちょっと運転を誤ると河に転落という所にも柵は一切ありません。「河に落ちないよ う厳重注意!」などの標識も一切ありません。すべて自己責任が徹底しているのですね。そのかわり街の風景には情緒があり、中には中世の雰囲気を保っている 所もあって最高です。
一方、わが国では自己責任よりも管理責任のほうが重視されているので、その責任を少しでも回避しようと警告だらけです。電車のホームやエスカレータでは黄 色い線内に立て、子供にはエスカレータに引っ掛かるような履物はダメ、電車のドアの隙間に指を挟まれないように、などなどだが、その最たるものは山際を走 る道路の「落石注意」の立て看板だ。車を運転していてあの看板を見ると「どう注意したらいいのだろう」、「そんな警告をするくらい危険な事が分かっている なら事前に防止工事をしろ」と考えてしまう。
(オランダ、ベルギー共通)
⑤ オランダの食事はあんまり美味しくない。「オランダの料理は楽しむためではなく、腹を満たすためにある」と言われる通りでハリングの苦手な自分には朝食の パンとハムが美味しかった。むしろ永く領有したインドネシアの料理が第2の郷土料理らしい(フランスのベトナム料理、イギリスのインド料理のようなもの) だが、オランダまで来てインドネシア料理を食べる気にはならないしねー。 一方、ベルギーは美食の国。何と言ってもムール貝がある。いろいろに料理される ムール貝はどれも美味しかった。とくに、西岡塾の5期生で駐日ベルギー大使館のクレールさんから推薦されたレストランの一つ、肉料理が自慢で日本人にも ファンの多いVincentはふっくらとした大粒のムール貝が特別に美味しかった。肉料理も美味しかったが、やっぱり和牛のステーキには敵わないナー。
⑥ 日本の方が優れていることも勿論多々ある。
・フランスでも同じだが、両国とも飼い犬の糞を始末しない。少なくとも東京では飼い犬の散歩中の糞を飼い主が始末するのは常識となった。全国的にそうだと いう自信はないが、少なくとも東京ではかなり定着している。ところが、オランダでもベルギーでも道端に犬の糞がほったらかしだ。「死の町」という小説で注 目を浴びるベルギーの小さな町ブルージュは中世の町がそのまま静止したような美しい町でベルギーでも1、2を争う観光地だが、観光客が犬の糞を踏み付け て、ギャッと立ち往生し、靴に付いた糞を道の縁に塗り付けて拭っている。こんなのどうかなー? 東京からベルギーに来て長期滞在した人が、飼い犬の糞を東 京での日常通りビニール袋で拾っていたら、「そんなことをしたら清掃人の仕事奪う」とたしなめられたそうだ。
・どちらも美術館のガードたちが喧しい。静かであるべき美術館内のガードたちがクチャクチャと、しきりと仲間同士でおしゃべりに興じている。ハーグのマウ リッツハウス美術館ではフェルメールの名作「真珠の耳飾の少女」をうっとりと観賞しているのに、ガードたちの立ち話が余りに煩いので、堪り兼ねて「館内で は静かにしなさい。鑑賞の邪魔になります」と注意をしてしまった。日本の美術館では考えられないことだ。まあ、その代り日本の美術館では著名な絵が来ると 「立ち止まらず前に進んでください」と連呼される中を押しあいへし合いで見なければならないのだから、うっとりと鑑賞と言う訳にはいかないけどね。でもま あ、ここは両国の美術館のガードに「折角の静寂をガードがぶち壊すな」と猛省を促したい。
・もうひとつ、どちらの国も喫煙者のマナーが悪い。街を行く人たちが颯爽と「くわえ煙草」でポイポイと吸殻を街に捨てて歩く。日頃、喫煙者の歩行中の喫煙 に苦しんでいて、日本人の喫煙マナーの悪さを嘆いているが、日本だけが最悪ではないと変な納得をしてしまった。また、ベルギーには禁煙のレストランも増え ていて助かったが、オランダではレストランの中が煙草臭くておうじょうした。そう言えば今日1月7日から東京のタクシーは全面禁煙となった。TVでその ニュースを見た時はバンザーイと飛び上がりたいくらい嬉しかった。そんなことをベルギーのホテルで考えていたら、CNNで「フランスでバーもレストランも 禁煙」というニュースが流れた。あの愛煙家の多いフランスが、ですよ。良かったーとは思うが、守れるのかなー?
⑦ どこの国にも悪い奴はいる。アムステルダムで購入した、列車、TRAM、バス、美術館一日共通券に運河をボートで巡るクルーズのチケットが付いていた。時 間もあるし、乗ってみようかと船着き場に行ったら、受付オフィスから若者が飛び出してきて、「乗るんですか? OK!早く早く、もう直ぐあのクルーザが出 ます。はい、一人10ユーロ下さい。船まで案内しまーす」と来た。
「何? 一人10ユーロ? チャンとチケットを持っているのに10ユーロ出せとは何のためだ。あんたはここの職員か?」と睨みつけてどんどん進むのに前を 遮って「一人10ユーロで案内します」とシツコイ。ちょうどその時、次の船から船頭が降りてきたので「その男はここの職員か?」と尋ねると首をすくめてい る。若い男を睨み付けて事もなく船に乗り込んだが、どこの国にも悪い奴はいる。  (終わり)

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