2008年3月15日土曜日

二代目経営者ガンバレー!

二代目経営者が頑張る大阪府下の中小企業を見せてもらった。第一プラスティック㈱の松田雄一郎社長、㈱中田製作所の中田寛社長、㈱岩本モデル製作所の岩本 明久専務の3人の経営者はともに二代目である。それぞれの会社の詳細はそのHPに譲るが、大企業の係長や課長が組織の一つの歯車として、上から落ちてくる 仕事を無難にこなすだけに終始していたり、自分がやる気でも上も下も付いて来ないでストレスと虚無感に苛まれたりと悩みの多いミドルたちと違って、この3 人はともに意気軒昂で話していても気持ちがいい。三人とも父親が創業した家業の後を継ぎ順調に発展させている。人間の生き方を考えさせられる貴重な体験で あった。今回はその訪問記である。
① まず、松田雄一郎君。中学生のときに父親から「会社をやるかー?」と言われて決心した経営者の道を「経営者になるために生れてきたんだ」と26歳で社長を 引き継ぎ、今は32歳。工場を案内しながらプラスティック加工の工程を詳細に説明する眼は自信に溢れている。やる気満々の若大将には技術知識の習得も軽々 とこなせるのであろう。32歳で「本当にモノづくりの好きな若者に活躍の場を提供する」と言いきって見せる。頼もしいものだ。ご両親も会社の経営をすっか り松田君に託し、夫婦で気候の良いところで好きなゴルフ三昧とか。これも大会社の重役にはできないことですね。
② 次は中田寛君。中田製作所はアルミ加工を専門にする会社で、大学から銀行に進んだ中田君をお母さんが二代目社長への就任を懇願され、落とされたと笑う。入 社した息子に父親は厳しかったが、業界トップレベルの超精密加工50μ→10μ→8μと技術者の部下2人と挑戦し続け、業界に中田製作所の名を確立させ、 二代目社長に就任したという。他社に類を見ない高い技術力は会社の信頼を上げ、超精密技術を要しない分野での業績も向上したという。ここの工場を見て回る と他所との違いが歴然としている。職人たちの目が光っているのだ。良い仕事をしているのはその眼に力があるのだ。
③ 岩本明久君はモデル製作所の二代目だ。家電製品などの商品企画や開発の前段階で必要になるモデルをNC技術を駆使して製作するのが仕事だが、この会社の面 白いのは、まず岩本君自身が若い時に悪ガキ(元ヤン)だったこと。だからこの会社には元ヤンが何人もいるという。工場見学のときにもアゴヒゲを蓄えた喧嘩 の強そうな職人を結構見た。そして、元ヤンたちは今はみんな真面目で良く仕事をするという。一つのモデル作りを分業せず、最初から最後まで一人に任せる仕 事の仕組みがいい。任された若い職人はみんなが一生懸命で、ここでも職人が良い眼をしていた。ヤンキーと言われる若者たちは実は真面目だから自分をごまか せずにヤンキーになることが多い。だから根は真面目なのだ。心から信頼できる元ヤンの岩本を大将にして彼らは懸命に社会に役に立とうとして頑張っている。
その内にチャンスを見つけて彼らを西岡塾に呼んできます。

喫煙タクシーの導入を提案します

東京のタクシーが全面禁煙なんて、とっても信じられなかった嬉しいことが実現して来週には早1か月になる。しかし、今でも多くのタクシーはタバコ臭い。全 車にイオン洗浄が義務付けられたとは聞くが、これまで喫煙自由であった車両に染み着いた悪臭は簡単には除去出来ないし、運転手が客待ちの間に車外に出てタ バコを吸った直後の呼気やタバコの匂いの染みついた洋服があの悪臭の源のようだ。
先日も乗ったタクシーがもの凄くタバコ臭いので、「この車はタバコ臭いねー、禁煙のはずじゃないの」と聞くと、「東京のタクシーは全部禁煙ですよ。僕がさっき車外で吸ったばかりだから、それで臭うのですかねー」と澄ましたもんだった。

これまで禁煙タクシー専用乗り場を置いていた聖路加病院が12月から「禁煙タクシー以外乗り入れ禁止」の措置をして利用者に喜ばれていたのに、1月7日か らは事実上すべてのタクシーが乗り入れ自由になり、利用者はタバコの悪臭に悩まされているという。全面禁煙のために却ってタバコの害を受けるという皮肉な 事態に病院としても頭の痛めているという。

そこでこの際、思い切って「喫煙タクシーの導入」は如何だろう。「東京のタクシーは禁煙を原則とする」というルールのもとに「喫煙タクシー」も一定のルー ルのもとに許可する。ルールとは車に「喫煙車」と目立つようにサインを付ける。タクシーの中でタバコを吸いたい人はこの喫煙タクシーを選べばよい。運転手 も客待ちのときにはタバコを吸えばよい。自分は喫煙者だが車内のタバコ臭さは嫌いと言う人は普通のタクシーに乗ればよい。喫煙のドライバーは喫煙タクシー に乗務すればよい。その代り、普通のタクシーは車内の空気清浄化を徹底する。如何だろう。

飛行機や新幹線やレストランなど多くの人がいる場所では煙は漂っていくし、タバコの煙の粒子は極々小さいので煙害を完全にシャットアウトできる分煙システ ムはなかなか実現できない。加害者と被害者を足して2で割る分煙は非喫煙者を保護できないから禁煙が広がるのは当然なのだ。
しかし、タクシーは原則的に個室である。「喫煙タクシー」と大きく明記して利用者もドライバーも納得の上で利用するなら誰も迷惑はしないはずだ。

「禁煙とは喫煙を禁止する」ことではない。「禁煙とは非喫煙者をタバコの害から守る」ことである。喫煙者がまだまだ多い社会で、「本当の禁煙」を実効的に実現するために、思い切って禁煙車を導入することには一考の余地があるはずだ。
(PS)ルドさんと言うイタリア人のお友達とよく一緒に蕎麦ランチを楽しんでいる。「喫煙タクシーの導入」は蕎麦を食べながら議論をしていたときにルドが言い出した考えである。ルド、ありがとう。

オランダ、ベルギー報告-2

(オランダの続き)
④ オランダはご存知のように運河の国です。至る所に運河が流れていますが、河淵には柵がありません。もし日本でこんなところに子供や老人が落ちるようなこと があれば管理責任を問われて大問題になるはずで、だからどんな川にも厳重に何らかの防御柵が張り巡らされて、しかも警告標識が一杯です。が,こちらでは河 淵に柵がありません。中には河淵が駐車場に利用されているところも多く、ちょっと運転を誤ると河に転落という所にも柵は一切ありません。「河に落ちないよ う厳重注意!」などの標識も一切ありません。すべて自己責任が徹底しているのですね。そのかわり街の風景には情緒があり、中には中世の雰囲気を保っている 所もあって最高です。
一方、わが国では自己責任よりも管理責任のほうが重視されているので、その責任を少しでも回避しようと警告だらけです。電車のホームやエスカレータでは黄 色い線内に立て、子供にはエスカレータに引っ掛かるような履物はダメ、電車のドアの隙間に指を挟まれないように、などなどだが、その最たるものは山際を走 る道路の「落石注意」の立て看板だ。車を運転していてあの看板を見ると「どう注意したらいいのだろう」、「そんな警告をするくらい危険な事が分かっている なら事前に防止工事をしろ」と考えてしまう。
(オランダ、ベルギー共通)
⑤ オランダの食事はあんまり美味しくない。「オランダの料理は楽しむためではなく、腹を満たすためにある」と言われる通りでハリングの苦手な自分には朝食の パンとハムが美味しかった。むしろ永く領有したインドネシアの料理が第2の郷土料理らしい(フランスのベトナム料理、イギリスのインド料理のようなもの) だが、オランダまで来てインドネシア料理を食べる気にはならないしねー。 一方、ベルギーは美食の国。何と言ってもムール貝がある。いろいろに料理される ムール貝はどれも美味しかった。とくに、西岡塾の5期生で駐日ベルギー大使館のクレールさんから推薦されたレストランの一つ、肉料理が自慢で日本人にも ファンの多いVincentはふっくらとした大粒のムール貝が特別に美味しかった。肉料理も美味しかったが、やっぱり和牛のステーキには敵わないナー。
⑥ 日本の方が優れていることも勿論多々ある。
・フランスでも同じだが、両国とも飼い犬の糞を始末しない。少なくとも東京では飼い犬の散歩中の糞を飼い主が始末するのは常識となった。全国的にそうだと いう自信はないが、少なくとも東京ではかなり定着している。ところが、オランダでもベルギーでも道端に犬の糞がほったらかしだ。「死の町」という小説で注 目を浴びるベルギーの小さな町ブルージュは中世の町がそのまま静止したような美しい町でベルギーでも1、2を争う観光地だが、観光客が犬の糞を踏み付け て、ギャッと立ち往生し、靴に付いた糞を道の縁に塗り付けて拭っている。こんなのどうかなー? 東京からベルギーに来て長期滞在した人が、飼い犬の糞を東 京での日常通りビニール袋で拾っていたら、「そんなことをしたら清掃人の仕事奪う」とたしなめられたそうだ。
・どちらも美術館のガードたちが喧しい。静かであるべき美術館内のガードたちがクチャクチャと、しきりと仲間同士でおしゃべりに興じている。ハーグのマウ リッツハウス美術館ではフェルメールの名作「真珠の耳飾の少女」をうっとりと観賞しているのに、ガードたちの立ち話が余りに煩いので、堪り兼ねて「館内で は静かにしなさい。鑑賞の邪魔になります」と注意をしてしまった。日本の美術館では考えられないことだ。まあ、その代り日本の美術館では著名な絵が来ると 「立ち止まらず前に進んでください」と連呼される中を押しあいへし合いで見なければならないのだから、うっとりと鑑賞と言う訳にはいかないけどね。でもま あ、ここは両国の美術館のガードに「折角の静寂をガードがぶち壊すな」と猛省を促したい。
・もうひとつ、どちらの国も喫煙者のマナーが悪い。街を行く人たちが颯爽と「くわえ煙草」でポイポイと吸殻を街に捨てて歩く。日頃、喫煙者の歩行中の喫煙 に苦しんでいて、日本人の喫煙マナーの悪さを嘆いているが、日本だけが最悪ではないと変な納得をしてしまった。また、ベルギーには禁煙のレストランも増え ていて助かったが、オランダではレストランの中が煙草臭くておうじょうした。そう言えば今日1月7日から東京のタクシーは全面禁煙となった。TVでその ニュースを見た時はバンザーイと飛び上がりたいくらい嬉しかった。そんなことをベルギーのホテルで考えていたら、CNNで「フランスでバーもレストランも 禁煙」というニュースが流れた。あの愛煙家の多いフランスが、ですよ。良かったーとは思うが、守れるのかなー?
⑦ どこの国にも悪い奴はいる。アムステルダムで購入した、列車、TRAM、バス、美術館一日共通券に運河をボートで巡るクルーズのチケットが付いていた。時 間もあるし、乗ってみようかと船着き場に行ったら、受付オフィスから若者が飛び出してきて、「乗るんですか? OK!早く早く、もう直ぐあのクルーザが出 ます。はい、一人10ユーロ下さい。船まで案内しまーす」と来た。
「何? 一人10ユーロ? チャンとチケットを持っているのに10ユーロ出せとは何のためだ。あんたはここの職員か?」と睨みつけてどんどん進むのに前を 遮って「一人10ユーロで案内します」とシツコイ。ちょうどその時、次の船から船頭が降りてきたので「その男はここの職員か?」と尋ねると首をすくめてい る。若い男を睨み付けて事もなく船に乗り込んだが、どこの国にも悪い奴はいる。  (終わり)

明けましておめでとうございます

本年もよろしくお願い致します。
年末年始にオランダ→ベルギー旅行をしたのでその時に感じたことをいろいろ綴ってみます。
(オランダ)
① こちらのクリスマスは静かだ。クリスチャンでもない日本人がキリストのために(?)こんなに嬉しそうにジングルベルを連呼するのに、キリスト教のこの国は 静かだ。現地の人に聞いてみると、「クリスマスは教会に行ってお祈りをし、家庭で楽しく過ごします。日本のクリスマスはアメリカと一緒で、すごく商業化し てるんですってね」とよく知られている。静かなクリスマスを象徴するのは街のイルミネーションで、日本のようなカラフルで動きの多いものと違って、こちら のネオンサインは数もずっとずっと少ないし、白い光を静かに放って居るだけ。クリスマスソングもラジオでは一日中放送されているらしいが、街中ではほとん どと言っていいほど聞こえない。昔住んでいた奈良のクリスマスよりも静かだ。
② 外国に行った時にはなるべく公共交通機関を使うことにしている。タクシーを取るのではtoo easyで世界中どこでも同じだが、公共交通機関は国ごとに仕組みが違って、それを使いこなすのもちょっと面白い。
オランダでも、外国に通じるInternational、国内の都市をつなぐIntercity、都市の中のローカル線、日本の市電のようなTRAMや地 下鉄のMETROにバスなどが縦横に張り巡らされているのでレンタカーを使って駐車場の心配をするよりずっと便利である。滞在期間に合わせて最もお得な回 数券を手に入れて使いこなすのも小さなチャレンジだ。「公共に売っているチケットを購入するのは簡単でしょう」と言われるかも知れないが、早朝乗った TRAMで回数券は売り切れですとか、自動販売機で札を使えないとか、だから販売窓口に行ったらコンピュータ端末がダウンで販売できませんとか、だったら 自動券売機で買うから札をコインに両替せよだとか、ストライキで予定していた列車が運休だとか、、、いろいろんなハプニングに適切に対応しながら初めて 行った国の公共交通機関をすぐさまに乗りこなすのは経済的なだけではなく、結構エキサイティングです。
③ 朝の9時頃に乗り合わせたTRAMの車掌が居眠りをしていました。制服の上に真っ赤なジャンバーを着込み、頭に毛糸の頭巾を着た、まるで私服で勤務してい るように見える若い男の車掌がほとんど居眠り状態で、乗客が乗ってくるとやっとこさと切符にスタンプを押すと今度は新聞を読みだしました。日本では考えら れないことですねー。手差し確認励行で、ドアー:良―し、信号:良―し、発車:良―し、、、と誠実勤勉な日本の車掌とは相当異質です。少なくとも外見上だ けは日本の車掌のほうが誠実勤勉に見えますがねー、外見上だけですかねー、居眠り事故もあるしなー???   (続く)

うだつが上がる

「うだつが上がる」とは出世することを意味するが、その語源となる「うだつ」が保存されている岐阜県美濃市と郡上八幡に行ってきた。

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写真は美濃市の「うだつ」である。
うだつは「卯建」と書くそうだが、写真の中央上部、二つの家屋の1階屋根と2階屋根の間に張り出すように設けられている屋根のついた小さい壁が「うだつ」 で、隣り合う町屋が隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁として造られるようになったものだが、江戸時代中期頃には自分の財力を誇示する為の装飾 としての意味合いが強くなったという。
「あいつは、なかなかうだつが上がらねーなー」などと言われることにならないようにしたいものだ。
この前日には美濃市の隣町である郡上八幡に寄ってみた。
初雪が降って寒い寒い郡上八幡だったが、冷たい雨ではなく大雪が降ったので、お蔭で風情は一段と勝った。郡上八幡の見ものは400年前に城主が築いた用水 路と、城主自身が音頭を取って盛んにした郡上踊りである。町中に張り巡らされている用水路は美しい水の流れを段々に別けて「飲み水」、「野菜を洗う水」、 「洗濯水」と使い分けている地域もある。
写真は組合を作って大切に使っている地域だ。
                  
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郡上踊りの実演会場では「見物の方も手振りだけでも踊ってみてください」と促されて恥ずかしながらやってみた。今も7月から9月の30数日間全国からの観 光客を集めて踊り狂うのも道理で、特に下駄を打ってカーンと響かせる踊りは心がワクワクする。来年の本番に参加してみたいと思う。同行希望者はお知らせあ れ。
それにしても、小京都と言われる郡上八幡の町は「城主が優秀だと何百年の間も領民を幸せにする」ことを証明している。私も小なりと云えども組織の長、身の引き締まる思いで見て来た。

塾生からの伝言2

先の久保田さんのメッセージに、早速同じ一期生の東京海上日動火災の原島さんから
以下のメッセージがありました。これも伝言します。西岡郁夫


久保田さん、
メールありがとうございます。ご無沙汰しています。久保田さんがメールに書かれている「豊かさの根源」について私も同じように考えさせられる経験をしてきているので返信します。
私は入社5年目に外務省に出向し、保険とは全く関係ないODAの仕事を2年間していました。新婚旅行でしか海外に行ったことのなかった私にとって途上国へ の出張はあらゆるものが新鮮で、多様性に驚きカルチャーショックを受けました。(黄熱病・肝炎・破傷風の予防接種、マラリアの予防薬服用などしながら、旅 行では行かないような国々に2年間で9回出張しました)

途上国ですから経済的には日本に比べて裕福ではありませんが、アフリカの最貧国を除けば「豊かさ」では日本より上ではと感じる国や場面を経験しました。
特にブータンに行った時の印象は強烈で日本で言う豊かさの象徴であるようなモノはほとんどないにもかかわらず、みんな健康的に幸せな暮らしのように見えました。

米国に7年間駐在していた時は「物質的な豊かさ」とともに「精神的な豊かさ」も実感しました。また、帰国後もラテン系の人たちの陽気さや楽天的なものの考え方・生き方も「豊かさ」を考えさせられました。
ただし、個人的には、日本という国および日本人も昔は「物質的な豊かさ」はないが「精神的な豊かさ」を持っていたのではないかと思っています。

最後に、日本企業がグローバル化してる中で、「多様性(Diversity)」と「共通の価値観(Core Value)」が大きな課題だと感じてます。多様性を尊重し受け入れながら企業としての共通の価値観を持つということは実践するのはとても難しい課題だと 日々感じています。

原島

塾生からの伝言1

ベルギーへ赴任中の一期生の久保田さん(エルピーダメモリ)から「一期生の飲み会」に宛ててメッセージが届きました。みんなで考えようと「西岡郁夫の部屋」を伝言板に使わせて頂きます。

西岡塾一期の皆さん

無政府状態が4ヶ月以上継続中のベルギー在住,久保田です.
福田さん,中西さん,世話役お疲れ様です.いよいよ明日に迫りましたね.
どう考えても不参加なので,近況報告で参加します.ちょっと悔しいです.

欧州全体がそうらしいのですが,ベルギーでは日曜日に普通のお店は営業していません.日曜日の街は,本当に閑散としています.何人かの現地人に質問しまし たが,日曜日は家族と過ごす日だという認識で大体一致していました.それでは不便だと若い人は思っているようですが,その習慣を変えるつもりはないようで す.

私が働いている会社の従業員は,3週間の夏休みが基本です.それを今年は,7月と8月に合計2回取った人が居ました.彼は,ある会議のコーディネータ役でしたが,休みの間その会議は開催されず,不開催の案内もありませんでした.
この会社でも市役所でも,あるいは普通のお店でも電話のカスタマーサービスでも,担当者が知らない場合は”それはできない”と言って終わりです.わかる人まで取り次ぐという習慣はありません.

このように,日本人として築いてきた常識,塾生として学んだ考え方を根本からひっくり返されるような事件に数多く遭遇してきました.
だけど,この国の人々は幸せそうなんです.日本人よりもずーっと健康的に見えます.
朝は8時から9時に出勤して,5時にはほぼ退社完了です.景色はきれいだし,家は広いことが基本です.

この豊かさの根源は何でしょう?歴史の違い?伝統の積み重ねの成果?
明日の会合で,もしも話題が途切れるようなことがあるようでしたら,(そんなはずないですが)この話題を使って頂けると幸せです.いつか皆さんのご意見をお聞きしたいと思います.
ちなみに,こんな所でも,日本人は深夜残業,休日出勤当たり前で働いています.(私を除いて)少しも幸せそうには見えません.悲しい性なのではないか,と感じています.

ベルギーからは以上です.東京にお返しします.

責任回避?

筆者のオフィスの近くにある全日空ホテルの六本木通り側にあるエスカレータが雨天には下の写真のような看板が立って運転停止となる。
看板には「雨天による安全確保の為 停止中」と書いてある。
このエスカレータはホテル敷地内にあるようなので公道ではなく、ホテルの2階部分や赤坂アークヒルズへ誘導するための私道かも知れない。
そうだとすればホテルが自由に運転停止にすることは合法的だろう。
しかし、このエスカレータを便利に使わせて頂いている通行人の立場から見ると、「雨天のときには横の階段はステップが濡れていて大変危険なのだ。いつも滑 らないように恐る恐る階段を下りているのは私だけではない。こんなときこそエスカレータの方が安全なのに」とホテルの仕打ちを恨んでいる。

エスカレーター
(写真は雨が止んでもまだ運転が再開されないエスカレータと会談を降りる通行人)

管理側にもいろいろ言い分はあるだろう。
しかし、「雨天は足を滑らせて危険だ。が、もし、階段なら通行人の責任となるが、エスカレータ上の事故だと管理責任が問われる。くわばらクワバラ」とエスカレータを運転停止にしているのではないだろうか。世の中こういう事例が多い。

新しい入国審査 ― これでいいの?

TV報道などでご存知の通り、11月20日から我国への外国人の入国審査の方法が変わった。
法務省入国管理局のHPでは:
「『ルールを守って国際化』を合い言葉に出入国管理行政を通じて日本と世界を結び,人々の国際的な交流の円滑化を図るとともに,我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより,健全な日本社会の発展に寄与しています」
とし、具体的には「指紋を取る」、「顔写真を撮る」、「入国審査官が審査する」というプロセスがスタートしたのだ。

確かに安全は最優先課題だ。国民の安全を守るために必要な措置は最優先で行われなければならない。それは認める。
しかし、今も心理的な抵抗感が大変強い「指紋を取る」、「顔写真を撮る」という措置を敢えて強制するのは「唯一、最善の策なのか?」と危惧せざるを得ない。

まず、採取された指紋や顔写真が他の目的に悪用されないという仕組みの確立が出来ていない。少なくとも入国審査を受ける外国人たちに安心感を与えられては 居ないのが現状だ。政府が「悪用しません。安心して下さい」と叫んでも、社会保険庁の「年金記録問題」やどんどん大きくなる防衛省の疑惑問題は外国人の日 本の役所への信頼感を既に十分に失わせているのだ。

私は今回の措置で、「外国人経営者や観光客の日本への距離が益々遠くなるのではないか?」と真剣に心配している。外国企業との協業、貿易と観光事業は日本 の重要戦略ではなかったか。「指紋を採られたり、顔写真を撮られるくらいなら日本行きは止めた」と言い出す外国企業幹部は少なくないはずだ。彼らが日本を 迂回して中国、韓国、インドに直行することが今後多くなることを危惧している。

仲の良い日本在住のイタリア人が日本のことを心配してこんなことを言っていた。「日本で起こった大きなテロ事件は麻原彰晃(本名:松本智津夫)率いるオー ム真理教と赤軍派で日本人ばかりじゃないですか。なのに、日本人を安全と信じ、外国人は疑うというのは釈然としませんね」と。

繰り返します。安全のための措置は重要です。しかし、今回の新しい入国審査の方法は「唯一、最善の方法なのですか?」。国民的コンセンサスが取れていますか?

トマト銀行

先日、岡山のトマト銀行の得意先向けのセミナーに基調講演を依頼され、「儲けるためのビジネスモデル・イノベーション」に関してお話をした。

ところで、トマト銀行とは大胆な名前ではないか! 重々しい名前を使いたがる銀行にしては大胆にも実に軽々しい。が、悪い気はしない。良いんじゃないのーという印象で会場に赴いた。

講演の前後に中川隆進社長や幹部の方から改名の経緯を含めていろいろお話をお聞きした。今回はそのレポートである。

平成元年に元の山陽相互銀行という相互銀行から普通銀行に転換したとき、顧客に愛される銀行を目指して当時の社長(2代前)が思い切ってトマト銀行と改名されたらしい。
でも、何故トマトなの?
ある朝、社長宅の朝食のテーブルに乗っていた瑞々しいトマトを見て「よし、トマト銀行としよう」と決められたという。
当然、社長の提案に幹部たちは「信用と安定をモットウとする銀行に、直ぐに萎びて腐ってしまうトマトでは軽すぎる」と全員が大反対だったという。
しかし、当時の社長は押し切った。すると、商号の珍しさから全国ニュースにも取り上げられるし、当時の言葉で言う「ナウイ!」と評判になって顧客からの評判も上々と大変得をされたらしい。確かに、「にんげん大好き―トマト銀行」というキャッチにこの名前はピッタリだ。
中川社長の挨拶は「今後とも、~MOTTO(もっと)身近でお客さまに信頼され選ばれ続ける『じぎん(地元の銀行)』へ~を目指して、、、」であった。地 銀を「ちぎん」と読まないで「じぎん」と読むのは、地元(じもと)で集めたお金を地元の繁栄に生かすことがミッションだからという。これもいい感じだ。
会場からの発言も多く、良い講演会であった。

自分の仕事に誇りを持つということ

以前、e-woman社長の佐々木かをりさんのご著書「自分が輝く7つの発想」(光文社)の感想文を書かせて頂いたときに、以下のような事例を紹介した。

先日、天気のいい日に新幹線に乗っていたら「皆さん、本日は大変いいお天気で富士山が美しく見えます。もう少し参りますと富士山が一番美しく見える場所に 列車が差し掛かりますので改めてアナウンス致します」という車内アナウンスがあった。しばらくして「皆様、いま富士山が一番美しく見えます」というアナウ ンス。なるほど煙突の煙も少ない場所で正しく絶景であった。列車の中は乗客が山側の窓際に集まって「うわー、綺麗! こんな富士山を始めて見た」と歓声を 上げた。そのとき、この車掌さんは自分の仕事に誇りを持っておられるなァと思ったものだ。自分もこういう仕事をしようと思う。

先日、鹿児島に行ったときの帰りの飛行機(JAL)では左の窓側に席を取り、何気なく窓の外を見ていたら、凄―い富士山を見た。鹿児島発が16時の便だっ たから、それは17時半頃だったか、暮れなずむ富士が雲海の中にすっくと立っていた。暗くなりかけた雲の中にほとんど山全体がくっきりと見えた。これまで に一度だけ飛行機から見た赤富士もそれはそれは美しかったが、暗い雲の中に佇む富士も美しかった。
で、当然ながら僕は上のエピソードの車掌のアナウンスを思い出した。
乗客が狭い窓から眺めてこれだけ感激しているのだから、当然、機長と副操縦士も同じ富士を見ているはずだ。操縦席の大きな窓からは、きっと息を呑むほど美しかったはずだ。
しかし、今回は残念ながら何のアナウンスもなかった。左の窓側に座る多くの人たちが何も知らずにいた。
結局、自分の機に乗り合わせる乗客たちと美しい富士山を見る喜びを分かち合うなんて、その操縦士たちにはなかったのだろう。感受性の問題か、仕事への誇りの問題か誰にも分からない。

ついでながら、僕は隣の年配の男性に「富士がきれいですよ!」と声を掛けた。怪訝そうに窓の外を眺めた男性が「おー、美しいー!」と声を出したので、我々 の前後の席の人たちは「あらー」とか「へー」とか言い言いしながら富士山を楽しんだ。もとりん、アナウンスの威力には適わない。

5次元放射線照射ガン治療

先週、ソフトウェアの大手SAPが宮崎フェニックスにユーザー企業を集めて開いた大きなイベントSAPPHIREに講師として招かれたのをチャンスに、翌日は鹿児島に足を伸ばし、厚地脳神経外科病院に行ってきた。この病院の厚地政幸理事長はかつて、
http://www.c-player.com/ac78768/thread/1100057813928
でご紹介した凄い先生で、上の記事では老医師などと書いてしまったが、72歳の今も現役で診察をされている。
先生、前稿では「老医師」などと失礼しました。
厚地先生は数年前にガン撲滅のために一私立病院が15億円を投じてPET検診を導入され、その手厚い検診で東京を含む県外からの多くの人々に圧倒的な支持を得ておられる。詳細は上のURLを参照頂きたい。
私もほぼ毎年お世話になっているのだが、今回もPET/CTによるガン検診を受けて無事に異常なしという結果を戴いた。ほっ!

ところで、前稿でも触れたが、厚地先生のもう一つの凄いところに「ガンは早く見付けて、切らずに直しましょう」というポリシ―のもとに、4次元放射線照射 治療で目覚しい治癒実績を誇る若い植松稔医師を鹿児島に迎え、世界中にここだけしかないという「4次元放射線照射装置」を開発、UASオンコロジーセン ター(植松稔所長)を開設して「明るいがん治療 切らずにピンポイント照射」(三省堂、植松稔編著)を実践されていることだ。肺ガン、乳ガン、前立腺ガン などを身体にメスを入れることなく放射線で治療して大変高い治癒実績を挙げておられる。
この4次元とは、ガンの病巣に正確に焦点を定めるためのx(横)、y(縦)、z(深さ)の3次元情報にt(時間)を入れて4次元である。治療を受ける患者 は呼吸をしているので患部は動いている。その微妙な動きに合わせて放射線照射の焦点を合わせるために時間軸tを入れるのだが、こういう放射線装置が世界中 で造られていないので、植松先生の情熱に感動した技術者たちが集合して完成させた装置だという。数ヶ月前にNHKでその治癒率の高さが取り上げられて、今 は県外それも遠く東京から治療を求める人たちが集まってくる。たとえば、会社の取締役に昇進する寸前に肺ガンの宣告を受けたことを考えてください。入院治 療が会社に知れるともう昇進は諦めなければならないだろうが、植松先生の治療法なら毎日の通院で短時間の照射を受けて完治することが期待できる。乳ガンは 乳房を切らずに治せるのだ。詳細は上のご著書を参照してください。

私がPET/CT検診に来院すると聞いて、植松先生も待っていて頂いて、忙しい治療の合間にお話をして来た。
そのときの話題が今回のテーマだ。まず、植松先生はかっこいいー。「白衣は患者さんに余計な緊張感を与えるから着ません」と男前がダンディに三つ揃いの背広の上着を脱いで寛いだ姿で治療に当たられている。
「西岡さん、ガン治療時の患者さんはイヤでも緊張されますから、医者のちょっとした心掛けも重要だと思います。その点、ここにいる看護婦の桜井佳代子さん の存在が大きいのです。いつもニコニコと明るく接するので患者さんたちは彼女を本当に信頼しています」と紹介された桜井さんは若い可愛い看護婦さんでし た。「無事退院された患者さんから届いた梨の宛先は桜井佳代子さんでしたよ。当病院のエースです」と嬉しそうだった。
なるほど、この病院の放射線照射は技術の4次元に医者と看護婦の心が加わって5次元なのだ。