2008年4月14日月曜日

電話のマナーを二つ

みなさん、携帯電話でお話するときは、もうちょっと声を落して、多少はひそひそ気味に喋りませんか?
そもそも携帯電話はいろいろの理由で相手の声が聞きにくいことが多い。
我々の声だけを拾うべきマイクが、周囲の雑音も拾ってスピーカーから聞こえるので、肝心の相手の声が相対的に聞こえにくいという技術的な問題もある。むかし、雑踏で公衆電話を掛けるときには受話器の口元を手でふさいで周辺の雑音を拾わないようにしていましたね。受話器を当てない耳を塞ぐよりもずっと効果的でしたね。あの現象です。小さな携帯電話ではマイクが遮蔽出来ずに余計に雑音を拾って自分の耳に入ってしまうのです。

そして、相手の声が聞こえにくいと我々はついつい自分が大きな声で話すことになります。街中で携帯電話にペコペコ頭を下げながら声高に言い訳をいったり、部下を叱ったり、ゲラゲラ笑いながら頭を掻いたり、無作法だし、迷惑だし、恥ずかしいですねー! みんなでちょっと気を付けませんか。

もう一つは携帯電話に限らない電話の基本的なマナーの話です。
電話で話していて、要件が終わると直ちにガチャっと電話を切る人が多いですね。失礼ですねー!これは。
単に失礼なだけではなくて、要件が終わろうとする瞬間に「あっ、そうそう、もう一つお話がー、、、」と言いだしたとたんに相手は気付かずに「ガチャン」と切ってしまうことがあります。
このブログを読んで頂いている方々もちょっと振り返って見てください。
「だって、話が終わったら電話を切るのは当然」と思いますか?
私は電話を切るにもマナーがあると思います。
小学生時代だったと思いますが、私の家に初めて電話が付いたとき、「相手の人が電話を切ってガチャンという音を聞いてから自分も受話器を置きなさい。それが電話を使うときの作法です」と母親に教えられました。それ以来60年間、そうしています。いまでも相手が電話を切るのを聞いてからこちらも電話を切るようにしています。
もっとも私もすでに65歳、ほとんどの相手が年下になります。そして多くの人は敬意を払って私が切るまで電話の向こうで待って頂いているようです。ありがとうございます。だから滅多にはありませんが、偶にはあります。いつもそうする人は決まっているようです。人柄が表れますよね。

2008年4月11日金曜日

アレキサンダー大王とEngineering

一昨夜、BSのHistory Channelで"Engineering an Empire”というテレビを偶然見ていてびっくりした。まず紀元前に大帝国を作ったアレキサンダー大王を語る題目に“Engineering”という言葉があるのに大いなる興味をもってしまったのだ。当方もDr, of Engineeringつまり工学博士の端くれなので「アレキサンダーとEngineering」という取り合わせが気になったというか、引っ掛かったのである。
高校時代に世界史を選択しなかった自分にとってアレキサンダー大王に関する知識は
① マケドニアから発してギリシャを征服した
② ギリシア軍を率いて東方に遠征し、ペルシャ、エジプトを征服後インドにまで遠征して途中急逝した
というまったく興味の湧かない史実のみである。
ところが、このTVをみてびっくりした:
アレキサンダー軍があんなに強かったのは「Engineeringを活用したためだ」ということである。まず、武器だ。父親フィリッポス2世も、敵軍の何倍も長い槍を持たせた歩兵部隊を四角い軍団にまとめて敵軍目指して押し出したり、手動が当たり前の弓矢を機械式に変えて飛距離と殺傷力を飛躍的に高めて当時の世界最強軍を作り上げ、ギリシャ制服を果たしたらしいが、父を継承したアレキサンダーはそれをもっともっと徹底したという。アレキサンダー大王行く所は常にEngineering Groupつまり技術団が付き添い、勝つための新しい武器、勝つための補助手段を考案して実行していったという。
紀元前300年代にである。たとえば、強大な海軍を擁するペルシャ軍の小島上の要衝(TVで島の名前を言ったが忘れてしまった)を攻めるとき、海に出ると強大な海軍に攻められるので、技術団は島に長さ1km幅60mの道を築き、要塞から矢を射かけるペルシャ軍に対して、「動く弓矢台」とでも言うべき6階建てくらいの移動式要塞を作り、小島の要塞に上から矢を射かけて敵をせん滅したとういう。
我々技術者は、たとえば、会社の新規事業を実現するために新製品や新素材や新製法を考案する。到達すべき目標に対して現状を分析し、問題点を明確にし、前提条件を明確にし、競争相手の実情を知り、それを超える技術や方法を考案し、試作し、実験し、問題点を改善し続ける。アレキサンダー大王の技術団もほとんど同じ思考方法を駆使したのだろう。しつこく言うが、紀元前300年代にである。大変感銘深い番組であった。

関連して印象に残った話が二つある。
① フィリッポス2世もアレキサンダー大王も征服したギリシャを蹂躙せず、むしろ、ギリシャ文明を敬い自分たちがその文化に同化しようとしたという。征服したペルシャでも部下とペルシャ人の集団結婚を奨励し、ペルシャ風礼式を取り入れ、代官にも現地有力者を任命したという、この包容力が東西融合のヘレニズム文化を産んだ。
② こうしてEngineeringが重要な意味をもったヘレニズム文化が勃興した当時、エジプトでは、すでに蒸気機関の原型が発明されていたという。にも拘らず、蒸気機関の実用化が18世紀の産業革命までまたなければならなかった理由は、当時のエジプトでは人件費が極端に安く、幾らでも人力を使えば良かったために蒸気機関の需要が見つからなかったからと言う。必要は発明の母なり。
面白い番組でした。

2008年4月8日火曜日

胸を張って歩こう

先日、㈱コムチュアの向浩一社長から聞きました。
中国に出張した時、仕事仲間の中国の人が、「韓国人と日本人は遠くで見ていてもすぐに見分けが出来る」と言うのだそうです。
「胸を張って歩いているのが韓国人、うつむき加減に下を向いて歩いているのは日本人だ」と言うのが見分け方のノウハウで、百発百中ですと胸を張ったという。
この話を聞いて「そんなバカなー」と思いましたか?
「そうかも知れないなー」と思った人が多いのではないでしょうか。
その方が問題かもしれませんね。しかも、日本人が自信を失くしているという事実だけではなく、中国の人たちに日本人が自信を失っていると見られているという事実はもっと深刻な問題です。
経済競争力の中で交渉力は重大なファクターですが、「最初から自信なし」と見られていては交渉になりません。
みなさん、胸を張って歩きましょう。
そのために普段からトボトボと下を向いて歩かないで、左右の肩甲骨を引き合って、胸を張って歩きましょう。