2008年2月29日金曜日

ネットの憂鬱 (NBonline「経営新世紀」 2007/08/31)

インターネットがいかに便利で、我々の生活をいかに劇的に変えてくれたかは論じ尽されている。もちろんITの西岡としてはそれに異論はない。しかし一方 で、多くのネットユーザーたちがネットの憂鬱に悩まされてもいる。今回はそのグチにお付き合い頂きたい。
 ネットの憂鬱の一つ目は言わずと知れた「スパムメール」だ。PCへのメールにはいろいろとスパムメール防除策を講じているが、向こうも対抗策を講じてい るのでイタチゴッコである。一向に減る様子がない。私のようにPCへのメールをすべて携帯電話に転送して、携帯電話が繋がる限りはどこにいても睡眠中を除 いて、仕事に関わる重要なメールを逃さないようにしている者には、携帯電話に転送されてくるスパムメールは正に憂鬱の種だ。
 仕事上で大切なメールを待っているときなどは、パンツの後ろポケットに入れた携帯電話がブルブルと震える度に取り出して、「とじたらロック解除」と 「メール制限解除」のセキュリティナンバー(いずれも4桁)をタイプインし、やっと受信ホルダーに辿り着いたら、待ち構えているメールの替わりにスパム メールのオンパレードだ。本当にムカッと来る。しかも、文句を言って行くところがない。ムーと怒りを胸にしまわなければならない。これは憂鬱だ。
 先日も、本職であるベンチャーキャピタルに関連する真面目な組織名の差出しで、真面目な内容の文面(英語)にいっぱい画像をダウンロードして下さいとい う構成のメルマガが配信されてきた。このメルマガはよく送られてくるもので、いつもは内容を見ずに直ちに削除していたのだが、今回は世間がお盆休みで受信 メールの数が少なかったので、試しに「配信停止」を返信してみた。すると現れたのは、よく出てくるシステムからの警告文だ。

要するに「返信をするにはコンテンツをダウンロードする必要があり、これを行うと迷惑メールの数が増える可能性があります」という、つまりダウンロードは 危険ですよというシステムからの警告である。こんなのをうっかりダウンロードしたら何が起こるかわからない。試しに、送信アドレスを宛て先欄にコピーして 「配信不要」と送信したら、直ちに「The following addresses had permanent fatal errors」要するに「そういうアドレスはありません」と返信が来た。危険なメールである。今後は自動的に削除済みファイルに入れるように登録をした が、こんな手間を掛けさせられるだけで憂鬱だ。むかーっ×むかーっ!だ。
 次なるネットの憂鬱は、「当メールは、過去に名刺交換させていただいた皆様にBCCでお送りしています……」という書き出しで送られてくる、怪しくはな いが押し付けのメールマガジン類だ。うっかりすると、こういう勝手な都合で送られてくるメールのために重要なメールを見落としてしまうので、押し付けがま しく送って欲しくはないメルマガが多い。中には「重要」という注意書きまで付いている。こっちは興味も無いのに、差出し人が勝手に重要と決めてもらっても 困るというものだ。盆休みの間にこういうものに片っ端から「配信停止」を返信したのだが、「配信停止」を指示する手順がきっちり用意されていないメルマガ も多い。名刺交換で一度入手したアドレスは絶対逃したくないといった送り手の本音が垣間見られて、良い気持ちのしないものだ。「企業の品格が問われます よ。経営者はきっちりチェックしなさい」と申し上げたい。
 また、義理のある人がやっている組織からのメルマガの場合には「配信停止」の指示を返信することさえ気兼ねするものだ。先日も、たびたび送られてくる が、興味が無いので読まずに削除し続けていた、ちょっと義理ある人の会社からのメルマガに、一大決心をして「配信停止」の返信をした。そうしたら直ぐに、 当の義理ある社長から丁寧なお詫びの返信が届いたではないか。どうも自動返信ではないらしく、「西岡さん、ご無沙汰しております。常々ご指導ありがとうご ざいます。配信停止の件畏まりました。大変ご迷惑をお掛けしておりました。今後ともこれに懲りずにご指導下さい。何野何兵衛」とあるではないか! 何野何 兵衛さんには不義理となってしまった。これは大いに憂鬱だ。良し悪しを論じているのではなく、憂鬱なのだ。何野何兵衛さんだって、こんな場合は「知らぬ振 りの伝兵衛」を決め込んでいてくれたら共に気まずい思いをしなくてすむものを……。
 ああーっ、ネットは憂鬱だー!

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