定められた公衆マナーが全然守られていない2つの例について考える。
その1.電車の「優先座席では携帯電話の電源をお切り下さい」とアナウンスが繰り返されるし、窓には電源OFFのマークが張られている。オマケに吊皮がオレンジに塗られて電源OFFのマークがあるが、優先席に座る大多数の乗客は全く悪気もなく、携帯電話を使い続けている。この様子を見ていると「優先座席では携帯電話の電源をお切り下さい」という警告は何事が起った時の電鉄会社のエクスキューズに過ぎないことがハッキリする。本当に守らなければならないルールなら、一週間くらい連日乗務員を巡回させて、「優先座席では携帯電話の電源をお切り下さい」と呼び掛けるべきだろう。及び腰の電鉄会社とそれを馬鹿にする乗客の構図は、それを毎日目にしている小学生や中学生に「公衆マナーは守らなくてもいいよ」と毎日教育しているようなものではないだろうか。長い目で見れば実に悪い教育である。
その2.私は通勤に京王井の頭線と都営銀座線を使っている。銀座線の渋谷駅の朝の満員時には3列縦隊に整列して乗車する「整列乗車」が指導され、よく守られている。次の次の列車を待つ乗客たちはその右に3列で並ぶ。狭い構内を有効、安全に使う当然の処置であるが、これが守られるのは乗客たちの自発的なマナーの良さだけではない。駅員たちが繰り返し「整列乗車」をアナウンスし、体を張って割り込み乗車を防ぐなどの日々の努力が乗客のマナーを育ててきたのだ。
一方、井の頭線渋谷駅の帰宅時は同様に狭い構内にこっちは2列の待ち行列が並ぶ。足元には3列の表示があるし、「3列に並んでお待ちください」と言うアナウンスもあるが、みんなが2列なので後ろから来た人が3列目を作るとズルになるので、止むなくみんなが2列に並ぶ。帰宅時は2列の長い列が反対側の方にも伸び危険ですらある。しかし、ホームで整理に当たる駅員たちは見て見ぬふりを決め込んでいる。帽子に金色の帯が付いている助役さんも知らぬ風である。だから、マナーが一向に改まらない。
これは乗客のせいではない。何故なら同じ渋谷で乗り換える乗客たちが銀座線ではキッチリとルールを守っているのだ。
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